統合失調症の認知・社会機能を予測する手法を開発
― 患者の社会復帰を支えるツールとして期待 ―
概要
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授、福島大学人間発達文化学類の住吉チカ教授らは、統合失調症患者の認知機能及び機能的転帰(日常生活技能や社会機能の回復)を予測する簡便な手法(簡略版)を開発しました。具体的には、汎用の知能検査バッテリから、認知機能全般を予測でき、かつ日常生活技能や社会機能と強い関連を持つ最適な検査課題の組み合わせを見出しました。この簡略版の特長として、1)短時間(約10 分程度)で統合失調症患者の認知機能全般を評価し得る、2)日常生活技能・社会機能状態も推定できる、3)国内多施設で統一した基準による認知機能評価が可能となることが挙げられます。
ヒトの知能は、広汎な認知機能領域の総体として捉えられています(図1)。その認知機能の評価に、汎用の知能検査バッテリ※の簡略版(検査課題数を減らす)がよく用いられますが、それらは、精神疾患患者を対象としたものではありませんでした。本研究で示す簡略版の活用により、全般的な認知機能のみならず、患者の機能的転帰を予測し、患者の社会復帰可能性についての有用な情報が得られる可能性があります。また、国内多施設で統一した基準による認知機能評価が可能になり、全国規模で統合失調症患者の社会復帰を促進すると期待されます。本研究成果は、米国科学雑誌Psychiatry Research の電子版に8 月9 日(土)に掲載されました。
※検査バッテリ: 複数の検査課題を組み合わせたものを指します。
リリース日
2016年8月26日
掲載紙
Psychiatry Research(電子版)
新聞報道
- 福島民友新聞「統合失調症の障害程度 検査手法を発見」(2016年9月1日 朝刊28頁)
- 福島民報新聞「機能評価手法 簡易に」
- 読売新聞「認知機能障害 迅速に判定」
- 朝日新聞「統合失調症の程度 手軽に測定」
(2016年9月1日 朝刊30頁)
(2016年9月2日 夕刊12頁)
(2016年9月2日 朝刊38頁)